前の職場で作ったマニュアル
思い出したようにアップしたい、このマニュアル。前職場で作ったものなんですね。なんで作ったかというと、自分が有休を取る際に担当部署をまともにできる人がいねえからですよ! 当時、社員のH本さんは大事な手術で休んでたし、元々やってたWさんは失踪しちゃったし、じゃあMさんはってえと50代後半でありながら理解といふものを諦めた生物なので、ならばアホでも分かるマニュアルを作って、それを見ながらやってもらうしかねえな! という考えに至ったわけです。
当然ながら無償です。まあそれはいいのだ。問題は、これを社員のT岡に渡しても「スティックメモリ読み込めなかった」とか「印刷できなかった」とか抜かして結局日の目を見ないまま終わったってことですよ。マ〇〇モのPCはMSXか何かか!? あと各部署の机にはプリンタがあるのに、印刷するのは事務所のプリンタしか許可しませんってどゆこと!? 非効率的だったらありゃしません。だだっ広い工場内から靴履き替えて事務所行ってって、考えられます?
とりあえず寒い日に寝ながらノートPCで文字だけ打ち込んだマニュアルをどうぞー。基本的に工場内は私物持ち込み禁止なので、ボタンの位置や機械の名称なんかは全て記憶して記載しました。多分ちょっと間違ってるよー。なんの役にも立たないけれど、当ブログはこんなこともあったなーって回顧録の代わりでもありますんでね。
――――――――――――――――――
【作業前に必要なものを揃えよう】
①蒸煮予定表
その日1日における蒸煮予定が記載されている用紙。これがないと何を蒸煮すればいいか分からないため、絶対に必要な書類だ。用意したら、まずは誤字、脱字がないかチェックを行うこと。誤りや疑問があれば、すぐ担当社員に質問、報告しよう。蒸煮設定を間違えたまま出荷すると、大問題につながります。
②蒸煮記録表
蒸煮の記録を残すための用紙。現場責任者はこれと蒸煮釜のチャートを照らし合わせ、記録通り蒸煮されているか確認している。よって誤字、脱字は禁物だ。取引先のお客様に提出するため、字はハッキリときれいに記入しよう。なお1ページ目のみ安全扉のチェック欄があるためレイアウトが異なる。間違いのないよう注意が必要だ。個人的にはなぜこのような仕様にしたのか甚だ疑問である。間違いが起こりやすいし、印刷の手間もかかる。作り手のセンスを疑ってしまう1枚だ。
③プレート
薄削り用、佃煮用の蒸煮済み原料に使用する鉄板。厚削り用以外の原料は放冷を行い、翌日に削成するため、使用者がそれらを混同させない、しっかりと判別させることが目的だ。プレートには上から「蒸煮日」「原料名」「削り品名」「屋号」「ロットナンバー」「箱数」を油性マジックで記載する。ロットナンバーは、作業の工程で担当社員がパソコンで原料を検索するため、間違いのないよう記載すること。
※原料の判別が目的なので、厚削り用でも一時的に使用することがある。削成室が似たような原料で溢れている際は、しっかりとプレートを記入し、担当者の混乱を招かないようにしよう。
―――――――――――――――――――――
【蒸煮釜を操作するにあたって】
蒸煮釜を操作するには、まず各部の操作方法を覚えよう。バルブにボタンと様々な操作箇所がありますが、まずはそれらの名称、目的を把握していくことが肝心だ。
【バルブ】
①バルブ(釜側面)
作業を始める際には、まず釜の内部に熱を送るため、側面にある3ヶ所のバルブを開放しよう。ここを開放しなければ、いつまで経っても釜内部の温度が上昇しない。実に重要な箇所だ。
②バルブ(T字パイプ)
煮汁の採取や、ブローの際に排水を行うために使用。向かって左側が煮汁採取用、右側が排水用だ。後述するが、ブローもまた重要な操作なので、しっかりと覚えておこう。
③バルブ(釜正面、上部)
釜内部の温度や圧を上昇、下降させるために使用。締めれば上昇し、開ければ下降するので、作業の工程により状況に応じて使い分けよう。
【制御盤】
①処理開始(ボタン)
蒸煮処理が開始される。設定に間違いがないか、しっかりと確認してから開始しよう。
②処理停止(ボタン)
蒸煮処理が停止される。【処理完了】ランプが点灯したら、速やかに処理を停止しよう。好ましい行為ではないが、設定の誤りがあった際などにも使用する。
③扉開放
点灯中は台車の安全装置が解除される。つまり台車の操作が可能となる。そして、この間は蒸煮が開始されなくなる。
④台車入・戻(ボタン)
【台車入】を押すと台車が釜の方に向かい、【台車戻】で釜から出てくるよう動作する。なお、釜近辺に存在する安全扉がしっかり閉まっていないと、安全装置が作動し、台車は動かない。台車が誤作動すると大事故につながるため、安全装置は複数箇所に存在する。
⑤安全ピン解除可
点灯中は、釜上部にある安全ピンの解除が可能となる。安全ピンとは、扉を閉めるための重要な箇所である。ここが解除されていると、蒸煮処理は開始されない。
⑥安全ピン開・閉(ツマミ)
【開】で安全ピンが解除され、釜の扉が開くようになる。この間は蒸煮処理が開始されない。【閉】で安全ピンが作動し、釜の扉が固定される。この間は蒸煮処理の開始が可能。蒸煮の際は必ず【閉】にしておこう。
⑦ブザー停止(ボタン)
蒸煮処理が終了した際はブザーが鳴る。それを停止するためのボタンだが、処理自体は停止されないため、特に使用することはない。
⑧温度設定(ボタン)
蒸煮温度を管理するための重要なボタン。数値の変更を行うには、まず【MODE】を押す。そして【△】【▽】で温度の設定を行い、再び【MODE】を押せば設定が完了する。
⑨時間設定(ボタン)
蒸煮時間を設定するための重要なボタン。それぞれデジタルの下部にボタンが対応している。【+】【-】を押すことによって数値を上下させる。基本的に使用するのは分単位のみで、一の位と十の位の2ヶ所である。
⑩熱量計
本機は、盤面右下の液晶画面によって蒸煮温度と時間が随時管理されている。記録を改ざんすることは不可能なので、誤りがあれば現場責任者にすぐ報告、相談すること。作業終了後は、結果を現場責任者がプリントアウトし、工程に誤りがないか確認を行う。
※時間の設定、チャート画面だが、数年前はアナログだったため、チャート紙にしわが入って上手く記録されなかったり、蒸煮時間が分かりにくかったりと苦労したこともあった。現在はそれが大幅に改善されたため、非常に作業が行いやすくなっている。
――――――――――――――――――――――
【蒸煮の流れ】
各操作部分の位置、効果を覚えたら、いよいよ蒸煮だ。ここでは順を追って説明していこう。
①熱を通そう!
まずは釜に熱が通るよう、釜側面のバルブを開放しよう。3ヶ所全てのバルブを開放すれば完了だ。これで熱が通らない場合は、ボイラーが停止している可能性があるので、ボイラー室を確認しよう。
②釜内部を殺菌しよう!
これを「ブロー」と言い、作業上では重要な役割を担う操作となっている。制御盤で温度設定を【103度】【3分】に設定し、釜には何も入れず【空炊き】を行おう。
③予定表をチェックしよう!
当日の蒸煮予定をチェック。誤字脱字がないか、あれば速やかに報告しよう。
④蒸煮記録表に記入しよう!
蒸煮する原料を記録表に書き込もう。原則として、いちどに入れて良い原料は削り品名で2種類までとされている。当然、蒸煮温度や時間の異なるものを同時に入れてはならない。
⑤原料を台車に乗せよう!
記録表に書き込んだ原料を用意し、台車の上に乗せよう。原料を2種類以上乗せる場合は、それぞれ混同しないよう分かりやすく配置することが肝要だ。最大で16箱乗せることが可能。
⑥蒸煮温度、時間を設定しよう!
制御盤に、記録した通りの数値を設定しよう。温度は右上のデジタル部分下にある【MODE】を押せば設定できる。そして【△】【▽】で温度を設定し、もういちど【MODE】を押せば設定完了。時間は、温度計の下部にあるデジタルを操作することによって設定。デジタル部分下の【+】【-】が各数値に直接対応している。簡単に変更できてしまうため、蒸煮中には触れないようにしよう。
⑦ダブルチェックを行おう!
記録、設定に間違いがないか、社員と2人で読み上げチェックを行おう。担当者はハッキリとした声で読み上げを、社員はレ点、サインを忘れずに!
⑧台車を釜に入れよう!
原料を乗せた台車を釜の中に入れよう。釜の扉を全開し【扉開】ランプを点灯させ、安全扉を閉めれば準備完了。【台車入り】ボタンを押せば台車が釜の中に入る。ただし途中までしか入らないため、残りは手で押して入れよう。
⑨台車を戻そう!
このままだと扉が閉まらないため、今度は台車の接続部分に入っているピンを外し、その後に【台車戻り】ボタンを押して台車を戻そう。その際、台車のレールに繋がっているブリッジを立てても大丈夫な距離まで戻すこと。ブリッジは、立てたままだと前に倒れて扉を損壊する恐れがあるため、チェーンでしっかりと固定しよう。
⑩扉を閉めよう!
扉を閉める際は、釜と扉の凹凸にきちんとはめ込むこと。今度は扉横のレバーを下ろし、制御盤の安全ピン【入】にツマミを回そう。安全ピンが入れば蒸煮処理の開始が可能になる。
⑪蒸煮を開始しよう!
【処理開始】ボタンを押せば蒸煮が開始される。
⑫釜内部の圧力と温度を上昇させよう!
釜内部の圧力を上げなければ、温度は110度までしか上がらず、蒸煮は永久に完了しない。そこで釜上部、扉のバルブを閉めて温度を上げていこう。閉めるタイミングは設定温度の20度手前。たとえば120度に設定しているなら100度でバルブを閉めよう。早く閉めてしまうと温度が120度に到達しないので注意が必要だ。
⑬処理を停止しよう!
蒸煮終了でブザーが鳴り【処理終了】ランプが点灯。【処理停止】ボタンを押せば蒸煮完了だ。
⑭釜内部の圧力と温度を下げよう!
安全ピンのロックを解除するために、釜上部、扉のバルブを開放し、釜内部の圧力を下げよう。蒸気が抜け、扉上部にある圧力計の数値が一定まで下がれば【安全ピン脱可能】ランプが点灯する。そこで安全ピン【戻り】にツマミを回そう。これで扉が開放可能だ。
⑮扉を開放しよう!
安全ピンが解除されたことを確認したら、今度は扉側面のレバーを上げて扉を開放しよう。その際に釜内部から蒸気が放出されるので、顔を近づけないこと。
⑯原料を取り出そう!
扉を開放したらレールを準備し、台車を接続しよう。そして釜のそばにある安全扉を閉め【台車戻り】を押せば原料が取り出せる。
⑰原料を下ろそう!
原料を下ろす前に、まず手袋をアルペットNVで消毒しよう。そして原料を下ろせば一連の作業完了だ。2種類以上の原料を積んでいる場合は、異なるもの同士を混同させないよう注意しよう。
【蒸煮においての注意点】
①~⑰までの動作を予定が終了するまで繰り返すのだが、それに関して注意点がある。原料の中にも特殊な例が存在するのだ。
①サバとアレルゲンの存在
【サバ】にはアレルゲンというアレルギー成分が含まれており、他の原料と同時に蒸煮することが不可能(関西風削りや薄厚など、例外も存在する)。さらには他の原料(鰹、イワシ等)の蒸煮に移行する際、必ず【ブロー】を行わなければならない。
※【ブロー】とは、釜に何も入れず【103度】【3分】で蒸煮し、内部を殺菌する動作である。蒸煮終了後は、床にあるT字パイプの右側を開放し、汚水を排出しよう。完了したら記録表の【ブ】の部分にレ点でチェック。
②鰹中厚の存在
削り品名【直火中厚】や【MC64中厚】などは、鰹Mと鰹Cを同時に蒸煮しなければならない。前者は1:1、後者は3:2の比率で蒸煮しよう。
※例
【直 火 中 厚】鰹M=8+0(144kg)、鰹C=8+0(144kg)
【MC64中厚】鰹M=6+0(108kg)、鰹C=4+0(72kg)
③優先順位の存在
原料は、薄削り、佃煮用などは翌日に削成するが、厚削りは当日なのでまずはここを優先して蒸煮していかなければならない。遅れが発生しないよう効率よく蒸煮していこう。基本的には予定表の上から順に蒸煮していくことになる。なお薄削り、佃煮用には決められた順番がないので効率のよい組み合わせで蒸煮しよう。
④同時蒸煮における制限の存在
効率よく蒸煮していくためには、複数の原料を蒸煮しなければいけない状況が発生するが、その際に注意しなければいけないのが同時に蒸煮可能な原料の種類だ。基本的に削り品名で2種類までと決められているので、その点には注意しよう。
【蒸煮温度・時間早見表】
◎厚削り用
【 鰹 】***度**分
【イワシ】***度**分 ※薄厚はサバと蒸煮が可能
【サ バ】***度**分
【関西風削り・ムロアジ】***度**分 ※サバと蒸煮が可能
【関西風削り・宗田CF】***度**分
【関西風削り・ 鰹 C F】***度**分
【宗田SE】***度**分
◎薄削り用
【鰹 C】***度*分
【鰹 CP】***度*分
【鰹AH】***度*分
【シビ荒】***度*分 ※佃煮用原料と蒸煮が可能
◎佃煮用
【鰹 A H】***度*分
【鰹 S H】***度*分
【鰹MH】***度**分 ※厚削り用原料、宗田と蒸煮が可能
【宗 田】***度**分 ※鰹MH、厚削り用原料と蒸煮が可能
【サバC】***度**分
薄削り、佃煮用の原料は、蒸煮終了後、放冷所に置いて原料を冷ますこと。そして作業終了後に各部署へと運び込もう。作業及び清掃中に運び込んでしまうと粉末や異物の混入する恐れがある。
当然ながら無償です。まあそれはいいのだ。問題は、これを社員のT岡に渡しても「スティックメモリ読み込めなかった」とか「印刷できなかった」とか抜かして結局日の目を見ないまま終わったってことですよ。マ〇〇モのPCはMSXか何かか!? あと各部署の机にはプリンタがあるのに、印刷するのは事務所のプリンタしか許可しませんってどゆこと!? 非効率的だったらありゃしません。だだっ広い工場内から靴履き替えて事務所行ってって、考えられます?
とりあえず寒い日に寝ながらノートPCで文字だけ打ち込んだマニュアルをどうぞー。基本的に工場内は私物持ち込み禁止なので、ボタンの位置や機械の名称なんかは全て記憶して記載しました。多分ちょっと間違ってるよー。なんの役にも立たないけれど、当ブログはこんなこともあったなーって回顧録の代わりでもありますんでね。
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【作業前に必要なものを揃えよう】
①蒸煮予定表
その日1日における蒸煮予定が記載されている用紙。これがないと何を蒸煮すればいいか分からないため、絶対に必要な書類だ。用意したら、まずは誤字、脱字がないかチェックを行うこと。誤りや疑問があれば、すぐ担当社員に質問、報告しよう。蒸煮設定を間違えたまま出荷すると、大問題につながります。
②蒸煮記録表
蒸煮の記録を残すための用紙。現場責任者はこれと蒸煮釜のチャートを照らし合わせ、記録通り蒸煮されているか確認している。よって誤字、脱字は禁物だ。取引先のお客様に提出するため、字はハッキリときれいに記入しよう。なお1ページ目のみ安全扉のチェック欄があるためレイアウトが異なる。間違いのないよう注意が必要だ。個人的にはなぜこのような仕様にしたのか甚だ疑問である。間違いが起こりやすいし、印刷の手間もかかる。作り手のセンスを疑ってしまう1枚だ。
③プレート
薄削り用、佃煮用の蒸煮済み原料に使用する鉄板。厚削り用以外の原料は放冷を行い、翌日に削成するため、使用者がそれらを混同させない、しっかりと判別させることが目的だ。プレートには上から「蒸煮日」「原料名」「削り品名」「屋号」「ロットナンバー」「箱数」を油性マジックで記載する。ロットナンバーは、作業の工程で担当社員がパソコンで原料を検索するため、間違いのないよう記載すること。
※原料の判別が目的なので、厚削り用でも一時的に使用することがある。削成室が似たような原料で溢れている際は、しっかりとプレートを記入し、担当者の混乱を招かないようにしよう。
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【蒸煮釜を操作するにあたって】
蒸煮釜を操作するには、まず各部の操作方法を覚えよう。バルブにボタンと様々な操作箇所がありますが、まずはそれらの名称、目的を把握していくことが肝心だ。
【バルブ】
①バルブ(釜側面)
作業を始める際には、まず釜の内部に熱を送るため、側面にある3ヶ所のバルブを開放しよう。ここを開放しなければ、いつまで経っても釜内部の温度が上昇しない。実に重要な箇所だ。
②バルブ(T字パイプ)
煮汁の採取や、ブローの際に排水を行うために使用。向かって左側が煮汁採取用、右側が排水用だ。後述するが、ブローもまた重要な操作なので、しっかりと覚えておこう。
③バルブ(釜正面、上部)
釜内部の温度や圧を上昇、下降させるために使用。締めれば上昇し、開ければ下降するので、作業の工程により状況に応じて使い分けよう。
【制御盤】
①処理開始(ボタン)
蒸煮処理が開始される。設定に間違いがないか、しっかりと確認してから開始しよう。
②処理停止(ボタン)
蒸煮処理が停止される。【処理完了】ランプが点灯したら、速やかに処理を停止しよう。好ましい行為ではないが、設定の誤りがあった際などにも使用する。
③扉開放
点灯中は台車の安全装置が解除される。つまり台車の操作が可能となる。そして、この間は蒸煮が開始されなくなる。
④台車入・戻(ボタン)
【台車入】を押すと台車が釜の方に向かい、【台車戻】で釜から出てくるよう動作する。なお、釜近辺に存在する安全扉がしっかり閉まっていないと、安全装置が作動し、台車は動かない。台車が誤作動すると大事故につながるため、安全装置は複数箇所に存在する。
⑤安全ピン解除可
点灯中は、釜上部にある安全ピンの解除が可能となる。安全ピンとは、扉を閉めるための重要な箇所である。ここが解除されていると、蒸煮処理は開始されない。
⑥安全ピン開・閉(ツマミ)
【開】で安全ピンが解除され、釜の扉が開くようになる。この間は蒸煮処理が開始されない。【閉】で安全ピンが作動し、釜の扉が固定される。この間は蒸煮処理の開始が可能。蒸煮の際は必ず【閉】にしておこう。
⑦ブザー停止(ボタン)
蒸煮処理が終了した際はブザーが鳴る。それを停止するためのボタンだが、処理自体は停止されないため、特に使用することはない。
⑧温度設定(ボタン)
蒸煮温度を管理するための重要なボタン。数値の変更を行うには、まず【MODE】を押す。そして【△】【▽】で温度の設定を行い、再び【MODE】を押せば設定が完了する。
⑨時間設定(ボタン)
蒸煮時間を設定するための重要なボタン。それぞれデジタルの下部にボタンが対応している。【+】【-】を押すことによって数値を上下させる。基本的に使用するのは分単位のみで、一の位と十の位の2ヶ所である。
⑩熱量計
本機は、盤面右下の液晶画面によって蒸煮温度と時間が随時管理されている。記録を改ざんすることは不可能なので、誤りがあれば現場責任者にすぐ報告、相談すること。作業終了後は、結果を現場責任者がプリントアウトし、工程に誤りがないか確認を行う。
※時間の設定、チャート画面だが、数年前はアナログだったため、チャート紙にしわが入って上手く記録されなかったり、蒸煮時間が分かりにくかったりと苦労したこともあった。現在はそれが大幅に改善されたため、非常に作業が行いやすくなっている。
――――――――――――――――――――――
【蒸煮の流れ】
各操作部分の位置、効果を覚えたら、いよいよ蒸煮だ。ここでは順を追って説明していこう。
①熱を通そう!
まずは釜に熱が通るよう、釜側面のバルブを開放しよう。3ヶ所全てのバルブを開放すれば完了だ。これで熱が通らない場合は、ボイラーが停止している可能性があるので、ボイラー室を確認しよう。
②釜内部を殺菌しよう!
これを「ブロー」と言い、作業上では重要な役割を担う操作となっている。制御盤で温度設定を【103度】【3分】に設定し、釜には何も入れず【空炊き】を行おう。
③予定表をチェックしよう!
当日の蒸煮予定をチェック。誤字脱字がないか、あれば速やかに報告しよう。
④蒸煮記録表に記入しよう!
蒸煮する原料を記録表に書き込もう。原則として、いちどに入れて良い原料は削り品名で2種類までとされている。当然、蒸煮温度や時間の異なるものを同時に入れてはならない。
⑤原料を台車に乗せよう!
記録表に書き込んだ原料を用意し、台車の上に乗せよう。原料を2種類以上乗せる場合は、それぞれ混同しないよう分かりやすく配置することが肝要だ。最大で16箱乗せることが可能。
⑥蒸煮温度、時間を設定しよう!
制御盤に、記録した通りの数値を設定しよう。温度は右上のデジタル部分下にある【MODE】を押せば設定できる。そして【△】【▽】で温度を設定し、もういちど【MODE】を押せば設定完了。時間は、温度計の下部にあるデジタルを操作することによって設定。デジタル部分下の【+】【-】が各数値に直接対応している。簡単に変更できてしまうため、蒸煮中には触れないようにしよう。
⑦ダブルチェックを行おう!
記録、設定に間違いがないか、社員と2人で読み上げチェックを行おう。担当者はハッキリとした声で読み上げを、社員はレ点、サインを忘れずに!
⑧台車を釜に入れよう!
原料を乗せた台車を釜の中に入れよう。釜の扉を全開し【扉開】ランプを点灯させ、安全扉を閉めれば準備完了。【台車入り】ボタンを押せば台車が釜の中に入る。ただし途中までしか入らないため、残りは手で押して入れよう。
⑨台車を戻そう!
このままだと扉が閉まらないため、今度は台車の接続部分に入っているピンを外し、その後に【台車戻り】ボタンを押して台車を戻そう。その際、台車のレールに繋がっているブリッジを立てても大丈夫な距離まで戻すこと。ブリッジは、立てたままだと前に倒れて扉を損壊する恐れがあるため、チェーンでしっかりと固定しよう。
⑩扉を閉めよう!
扉を閉める際は、釜と扉の凹凸にきちんとはめ込むこと。今度は扉横のレバーを下ろし、制御盤の安全ピン【入】にツマミを回そう。安全ピンが入れば蒸煮処理の開始が可能になる。
⑪蒸煮を開始しよう!
【処理開始】ボタンを押せば蒸煮が開始される。
⑫釜内部の圧力と温度を上昇させよう!
釜内部の圧力を上げなければ、温度は110度までしか上がらず、蒸煮は永久に完了しない。そこで釜上部、扉のバルブを閉めて温度を上げていこう。閉めるタイミングは設定温度の20度手前。たとえば120度に設定しているなら100度でバルブを閉めよう。早く閉めてしまうと温度が120度に到達しないので注意が必要だ。
⑬処理を停止しよう!
蒸煮終了でブザーが鳴り【処理終了】ランプが点灯。【処理停止】ボタンを押せば蒸煮完了だ。
⑭釜内部の圧力と温度を下げよう!
安全ピンのロックを解除するために、釜上部、扉のバルブを開放し、釜内部の圧力を下げよう。蒸気が抜け、扉上部にある圧力計の数値が一定まで下がれば【安全ピン脱可能】ランプが点灯する。そこで安全ピン【戻り】にツマミを回そう。これで扉が開放可能だ。
⑮扉を開放しよう!
安全ピンが解除されたことを確認したら、今度は扉側面のレバーを上げて扉を開放しよう。その際に釜内部から蒸気が放出されるので、顔を近づけないこと。
⑯原料を取り出そう!
扉を開放したらレールを準備し、台車を接続しよう。そして釜のそばにある安全扉を閉め【台車戻り】を押せば原料が取り出せる。
⑰原料を下ろそう!
原料を下ろす前に、まず手袋をアルペットNVで消毒しよう。そして原料を下ろせば一連の作業完了だ。2種類以上の原料を積んでいる場合は、異なるもの同士を混同させないよう注意しよう。
【蒸煮においての注意点】
①~⑰までの動作を予定が終了するまで繰り返すのだが、それに関して注意点がある。原料の中にも特殊な例が存在するのだ。
①サバとアレルゲンの存在
【サバ】にはアレルゲンというアレルギー成分が含まれており、他の原料と同時に蒸煮することが不可能(関西風削りや薄厚など、例外も存在する)。さらには他の原料(鰹、イワシ等)の蒸煮に移行する際、必ず【ブロー】を行わなければならない。
※【ブロー】とは、釜に何も入れず【103度】【3分】で蒸煮し、内部を殺菌する動作である。蒸煮終了後は、床にあるT字パイプの右側を開放し、汚水を排出しよう。完了したら記録表の【ブ】の部分にレ点でチェック。
②鰹中厚の存在
削り品名【直火中厚】や【MC64中厚】などは、鰹Mと鰹Cを同時に蒸煮しなければならない。前者は1:1、後者は3:2の比率で蒸煮しよう。
※例
【直 火 中 厚】鰹M=8+0(144kg)、鰹C=8+0(144kg)
【MC64中厚】鰹M=6+0(108kg)、鰹C=4+0(72kg)
③優先順位の存在
原料は、薄削り、佃煮用などは翌日に削成するが、厚削りは当日なのでまずはここを優先して蒸煮していかなければならない。遅れが発生しないよう効率よく蒸煮していこう。基本的には予定表の上から順に蒸煮していくことになる。なお薄削り、佃煮用には決められた順番がないので効率のよい組み合わせで蒸煮しよう。
④同時蒸煮における制限の存在
効率よく蒸煮していくためには、複数の原料を蒸煮しなければいけない状況が発生するが、その際に注意しなければいけないのが同時に蒸煮可能な原料の種類だ。基本的に削り品名で2種類までと決められているので、その点には注意しよう。
【蒸煮温度・時間早見表】
◎厚削り用
【 鰹 】***度**分
【イワシ】***度**分 ※薄厚はサバと蒸煮が可能
【サ バ】***度**分
【関西風削り・ムロアジ】***度**分 ※サバと蒸煮が可能
【関西風削り・宗田CF】***度**分
【関西風削り・ 鰹 C F】***度**分
【宗田SE】***度**分
◎薄削り用
【鰹 C】***度*分
【鰹 CP】***度*分
【鰹AH】***度*分
【シビ荒】***度*分 ※佃煮用原料と蒸煮が可能
◎佃煮用
【鰹 A H】***度*分
【鰹 S H】***度*分
【鰹MH】***度**分 ※厚削り用原料、宗田と蒸煮が可能
【宗 田】***度**分 ※鰹MH、厚削り用原料と蒸煮が可能
【サバC】***度**分
薄削り、佃煮用の原料は、蒸煮終了後、放冷所に置いて原料を冷ますこと。そして作業終了後に各部署へと運び込もう。作業及び清掃中に運び込んでしまうと粉末や異物の混入する恐れがある。
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